とんでもない推理小説を発見しました!
「エイレングラフ弁護士の事件簿」です。

📘 概要
文藝春秋から2024年9月に刊行された短編集。
伝説のミステリアン、ローレンス・ブロックが38年間書き続けた、犯罪弁護士「マーティン・エイレングラフ」を主人公とする全12編を日本で初めて完全収録した作品集です。
主人公:マーティン・エイレングラフ
詩を愛する洒落者の弁護士で、自身を「裁判に出ない弁護士」と称し、探偵のような手法で依頼人を「無罪」に導きます。
報酬は有罪なら不要、無罪になったら法外に高額という見返りです。
たとえ依頼人が真犯人でも(←ここがポイントです)、必ず無罪にするというモットーを持っています!
作品の構成と展開
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全12話収録:シリーズ初作を含め12編を収録。「エイレングラフの弁護」「~推定」「~義務」「~決着」「~悪魔の舞踏」など。
- ストーリー構成:依頼人との対面 → 事件内容の告白または自白 → 物語の終結 → 無罪後のエイレングラフとの会話、といった流れで進みます。
- 独特の手法:エイレングラフの裏工作など核心部分は描写されず、結果から読者に想像させる構成。これがブラックユーモアと意外などんでん返しを引き立てています。
※この「裏工作」が、本作の一番ヤバいところです。
エイレングラフ弁護士は、依頼人を無罪にするためなら何でもします!
他の人物を犯人に仕立て上げることも日常茶飯事です。
いかにもその人物が犯人であるかのような証拠を揃えたり、ひどいときには殺人までやらかしたりしています。(明確な描写こそありませんが、エイレングラフ弁護士が陰で何かやっていることは容易に推測できます。)

魅力と評価
🔍 ブラックユーモアと鮮烈な切れ味
法外な報酬、高度な裏工作、依頼人が真犯人でも無罪にするというモラル崩壊の世界観が、軽妙な文体とともにブラックユーモアとして際立ちます。
🖋 文体とリフレインの効果
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エピグラムとして短詩が各話に登場し、事件とリンクする構成。
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毎回「勝負服」を着るなど、洒落た人物描写が繰り返され、シリーズとしてのテンポと魅力を形成しています。
※本作は海外の作家さんが書いた推理小説ですが、日本語訳がとても自然で読みやすく、違和感なく楽しめます!

📚 読書体験として
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非常に完成度が高く「短編集として読むミステリの極み」と評されています。
📚 作者「ローレンス・ブロック」について
ローレンス・ブロックは、探偵マット・スカダー、殺し屋ケラー、泥棒バーニーなどで知られる名ミステリ作家。
短編でもエドガー賞を複数回受賞、アメリカのミステリ界を代表する存在です。
というわけで本日は、とんでもない推理小説「エイレングラフ弁護士の事件簿」をご紹介させていただきました!
モラル崩壊、もはや何でもありのヤバい作品ですが、不思議と読後感はすっきり爽やかでした。
確かに、エイレングラフ弁護士は裏工作でやらかしまくっていて、人間性を疑わざるを得ないキャラクターです。
しかし少なくとも彼は、依頼人の前では(基本的には)礼儀正しく振る舞っています。
詩を愛する知的な一面を持ち、依頼人を絶対に無罪にする(←手段は問いません)という恐るべき手腕を振るいます。
だからなのか、サイコパスだけど憎めないようなキャラクターに仕上がっています。

本作を読めば、他のどの推理小説とも異なる、非日常な読書体験ができること間違いなしです。
読者の皆様も、よければぜひ一読してみてください!
今回はこの辺で。
では、また!
