
筆者の職場を、大阪本社の偉い人たちが視察しに来たときのことです。
「今から面白い話をします」。
そんな前置きをしてから、本社の人が語り始めました。
「これは私の高校時代の友人の、女の子の話なんですが……」
「その女の子はテニス部で朝練を毎日していて、お母さんにおにぎりを作ってもらっていました」

「でも、高2の夏のある日、お母さんが検査入院することになって、代わりにお父さんがおにぎりを作りました」

「馬鹿でかいおにぎりを作ってくれたそうです」
「おにぎりは美味しかったんですけど、問題はお昼のお弁当です。女の子のお弁当には、カキが入っていました」

「暑い日だったので、カキの状態が悪くなっていたんでしょう。お弁当を食べた後、女の子はお腹が痛くなって保健室に駆け込みました」
「ベッドでうんうん唸っていたそのとき、風でカーテンが揺れて、隣のベッドに寝ている人の顔が見えました。女の子は思わず言いました」

「『お姉ちゃん!!』」
……読者の皆様は、この話を面白いと感じましたでしょうか?
私は正直、微妙だなと思いました。(笑)
なぜ、この人の話はいまいち面白くなかったのでしょうか?
①おにぎりのくだりが必要ない
この話のオチは、あくまで最後の「お姉ちゃん!!」の部分です。
「悪くなったカキでお腹を壊したのが、女の子だけでなくお姉ちゃんもだった」というのが笑いどころのはずです。
したがって、この話において重要なのは「お弁当を食べる」くだりであり、その前のおにぎりのくだりはなくても成立します。
「いつもお弁当を作ってくれている母が入院することになって、代わりに父がお弁当を作った」
これだけで十分な説明ができるわけです。
②オチがやや高度
「お姉ちゃん!!」の部分を理解するには、
(1)女の子には姉がいた
(2)姉も女の子と同じく、お父さんが作ったお弁当(カキ入り)を食べた
これら2点が前提になります。
ですがこの話の問題点は、女の子に姉がいるという情報がそれ以前に全く出ていないことです。
いきなり「お姉ちゃん!!」と言われても瞬時にオチを理解するのは難しく、若干のタイムラグを経て「ああ、そういうことね……」となります。
タイムラグが発生するということは、面白さが減少するということです。
③女の子の年齢が「高2」に設定されているのもマイナスポイント
女の子が高2ということはお姉ちゃんは高3、つまりは1歳差ということなのでしょうが、

ある調査によると、兄弟の年齢差は2~3歳であることが最も多いようです。
この話に登場する「1歳差の姉妹」はレアケースであり、話を聞きながら「お姉ちゃんいるかも」と想定するのは困難だと思われます。
したがって、この話のオチですんなり笑えるようにするためには、(事実には反するかもですが)女の子の年齢設定を「高1」にする必要があります。
2歳差なら全然珍しくないですし、聞き手はお姉ちゃんがいることをちょっと想定しやすくなるでしょう。
以上①~③を踏まえれば多少面白くなるかもしれませんが、まあ率直に申し上げると微妙でした。(笑)
ちなみに、本人はめっちゃ面白い話をしたと思っているのか、「どうですか? 大阪の実力は!」などと言っていました。
おもんないねん!
まあ、他の社員を見ると大笑いしている人もいるにはいたので、筆者が求める笑いのレベルが高すぎた(あるいは笑いのツボがズレていた)だけかもしれませんが……。(笑)
そんなことがありました。
私の経験上、「今から面白い話をします」と宣言してから始まった話が面白かったことはほぼないですね。(笑)


