筆者の妹が絶賛していた、湊かなえの「母性」。
「そんなに面白いのなら読んでみようかしら」と思って読み始め、今日、ついに読了しました。
で、忖度なしで正直にレビューさせていただくと「面白いのは確かだが、読後感が強烈に悪い」という感じでした。
良くも悪くも凄まじくインパクトのある作品だったので、今日の記事でちょっと取り上げてみたいと思います。
湊かなえの「母性」は、2015年に書かれた作品です。
この小説では、2人のキャラクターの視点から出来事が描写されていきます。
1人が母親、もう1人がその娘です。
最初は、母親の視点から始まります。
一見すると「良妻賢母」って感じなんですけど、この人、自分のママ(←娘から見た祖母)に精神的にめっちゃ依存しています。
いわゆるマザコンですね。
色々あってママが亡くなり、母と娘は、夫の実家に身を寄せます。
ところが、夫の実家には恐ろしく意地悪な姑がいて、お母さんは毎日毎日いじめられてしまいます。
朝から晩まで、農作業やら家事やら介護やら、あらゆるタダ働きをさせられます。
お母さんは姑に反抗せず、大人しくこき使われています。
で、ここからが問題。
娘視点だと「この頃の母親は、私を何度も殴った」のだそうです。
しかし、母親の視点のところを読んでも、そんなことは一度も書いてありません。
読んでいて、思わずぞっとしました。
もしかしてこのお母さん、ほとんど無自覚に、罪の意識もなく暴力を振るっているの……!?
「母性」のあとがきに「この作品には『信用できない語り手』が2人もいる」と書いてあったんですけど、まさしくその通りです。
「マザコン編」が終わって「姑いじめ編」が始まった辺りから、母と娘で言っていることが食い違うことが増えてきます。
母と娘の関係には少しずつ亀裂が走っていき、最終的に、思いつめた娘が自殺未遂を図ります。
この自殺未遂の直前のシーンも、なかなかぞっとするものでした。
母親視点だと「私は動揺して、娘を抱きしめようとした」みたいなことが書かれてるんですが、娘視点だと「お母さんは腕を伸ばし、私の首を絞めようとしてきた」とあります。
やばすぎ……。
お母さん、さすがにその嘘はダメですよ!
無自覚に殺人未遂しないで下さい!!
もし、この小説の中の世界に噓発見器を置いたら、お母さんが喋るたびに反応するかもしれません。
やばすぎる自殺未遂シーンを読んで、私は思いました。
「ははーん、母と娘が仲違いして終わりだな?」
全然、違いました。
一命をとりとめた娘は、相変わらずお母さんと一緒に暮らしています。
しかも、娘の視点で「今の生活が幸せ」的なことが書かれてるんです。
何でそうなった!?
あなたはそれで本当に良いんですか??
そんな感じで、物語は終わっています。
……いや、読後感が悪すぎる!!
読んでいる間ずっとモヤモヤしてましたし、ハッピーエンドにもならず。何なんでしょう、この後味の悪さは。
私、「母性」を読んでいてすごくストレスを感じたんですよ。
なぜストレスになったのかと言いますと、この作品のキャラクターがほとんど全員、「理不尽な仕打ちに対して反抗しない」人たちだったからです。
お母さんは、姑にめちゃくちゃいじめられても「愛情をこめて接すればいつか分かってくれる」と信じ、大人しく従っていました。
旦那さんも頼りない男で、好き放題やっている姑には見て見ぬふりです。
娘も娘で、母親から何かされても、やり返すどころか自死を選ぼうとするレベル。
もうちょっとこう、反撃しても良かったんじゃないかなあ……。
母と娘のどちらか、あるいは両方が気の強いキャラクターだったら、だいぶマシな結末になったのではと思います。
というのも、親子の関係が急速にこじれた原因の1つが姑にあるからです。
こいつさえ、やっつけることができれば!
※もう1つの原因は祖母の死なんですけど、これに関してだけはあまりネタバレしないでおきます。
気になる方は、実際に「母性」を読んでみて下さい。それはもう衝撃的な展開が待っています。
あと思ったのは、この作品、女性が読む場合と男性が読む場合で感じ方が結構違うかもなあ、と。
男性の場合、母親と娘が互いに抱く複雑な気持ちに、いまいち共感しきれないところもあるのではないでしょうか。
だって、反抗期真っ只中の男子にとっての母親なんて、(ものすごく極端な表現をすれば)「うるせー、ババア!」の一言で片付く存在ですからね……。
少なくとも、精神的にべったり依存する相手ではないはずです。
殴られたら殴り返す程度の反骨精神も、きっと持ち合わせているでしょう。今作の母や娘のように、やられっぱなしではありません。
というレビューでした。
良くも悪くも読了後、心をぐちゃぐちゃにかき回される小説です。
映画化もされたヒット作ですので、後味悪い系もいけるよって方は読んでみて下さい。
おまけ
【今日の職場ランチ】&猫

さすがにカップ麵や冷凍パスタばかりで飽きたので、今日は少し趣向を変えて、「かつや」のカツ丼(梅)にしました。
松竹梅のカツ丼があって、一番安いのを頼んだのに、何とこの見た目で1100カロリー以上あるそうです。
(ダイエット中なので)頼んだのを少しだけ後悔しました。
でも、美味しいのでOKです。

通勤途中、久々にこの猫と会えました。
お耳が小さめなのと、全体的に丸っこいのが可愛いポイントです!
